焙煎とは

焙煎(ばいせん)とは、コーヒー豆の“生豆(なままめ)”を火で煎って、香りと味わいを引き出す工程のことです。
生豆はもともと薄緑色で、香りも風味もほとんどありません。けれど、火を加えることで、豆はふっくらとふくらみ、茶色く色づき、あの豊かな香ばしさと深みが生まれます。

パチパチとはぜる音。立ちのぼる煙と香り。焙煎はまさに、豆が「コーヒー」に生まれ変わる魔法のような瞬間です。

焙煎の度合いによって、味は大きく変わります。
浅煎りは爽やかな酸味、深煎りは苦みとコク。
好みに合わせて焙煎を変えることで、あなただけの一杯が生まれるのです。

焙煎は、ただの工程ではなく、コーヒーに命を吹き込む大切な時間。
そしてその香りと音に包まれる瞬間こそが、私たちの「珈琲劇場」の始まりです

焙煎度

焙煎度とは、コーヒー豆をどれくらいの深さまで煎ったかを示すものです。
浅煎りは酸味が際立ち、深煎りになるほど苦みとコクが増していきます。
同じ豆でも、焙煎度で味わいはまったく変わる――それがコーヒーの面白さです。

■ライトロースト(浅煎り)
ほんのりと火を通した軽やかな焙煎。豆の個性とやさしい酸味が際立ち、まるで果実のような爽やかさが楽しめます。
■シナモンロースト(浅煎り)
まだやさしい酸味が中心で、ほのかに香ばしさが顔を出します。軽やかな飲み心地を求める方におすすめ。
■ミディアムロースト(中浅煎り)
酸味と甘みのバランスがとれ、親しみやすい味わい。人気で定番の焙煎度です。
■ハイロースト(中煎り)
コクが出始め、酸味は少し落ち着き、香ばしさがふわりと広がります。バランスが良く、喫茶店の味わいに近い印象。
■シティロースト(中深煎り)
苦みとコクがはっきりと現れ、ミルクとの相性も抜群。焙煎の香りが際立ち、深まる余韻が楽しめます。
■フルシティロースト(深煎り)
しっかりとした苦みと重厚なコクが魅力。ビターチョコのような甘みも感じられ、アイスコーヒーにもおすすめです。
■フレンチロースト(深煎り)
ほとんど酸味はなく、しっかりとした苦みとスモーキーな香りが特徴。エスプレッソにもぴったりな力強い一杯です。
■イタリアンロースト(極深煎り)
最も深く煎られた焙煎度。重厚な苦みと香ばしさが広がり、まるで焚き火のような余韻。夜の一杯におすすめです。

詳しい焙煎度の説明はコチラ

珈琲豆の品種

【アラビカ種】
世界のコーヒーの主流を占める品種。香り高く、酸味や甘みが豊かで繊細な味わいが魅力です。標高の高い地域で栽培されます。
【ティピカ】
アラビカ種の原種に近い品種。やわらかい酸味と甘み、バランスの良い風味が特徴。多くの品種の祖先としても知られています。
【スマトラ】
インドネシア・スマトラ島原産の品種。独特な精製方法により、深みのあるコクとスパイシーな香りを持ちます。
【ブルボン】
ティピカから派生した品種。丸みのある甘さと柔らかな酸味があり、口当たりがとてもなめらかです。赤や黄の実が知られています。
【カトゥーラ】
ブルボンの突然変異から生まれた品種。小柄で育てやすく、爽やかな酸味と明るい風味を持ちます。中米で多く栽培されています。
【カトゥアイ】
カトゥーラとムンドノーボの交配品種。病害に強く、安定した収量。バランスの良い味わいで、扱いやすさから広く普及しています。
【ムンドノーボ】
ブルボンとスマトラの自然交配で誕生。豊かなコクとしっかりしたボディ感があり、南米で多く栽培されています。
【カネフォラ種】
アラビカに比べて苦みが強く、香りは控えめ。高温多湿な低地でも育ち、病気にも強いタフな品種です。
【ロブスタ】
カネフォラ種の代表格。力強い苦みと重厚なボディが特徴で、エスプレッソやインスタントコーヒーにも使われます。
【リベリカ種】
流通量が少ない珍しい品種。フルーティで個性的な香りと、ウッディな風味が特徴。希少性の高さで注目を集めています。

生豆とは

コーヒーの「生豆(なままめ)」とは、焙煎前の状態のコーヒー豆のことを指します。
もともとコーヒーは赤く熟した実(コーヒーチェリー)の中にある種。その種を取り出し、精製・乾燥させたものが「生豆」です。見た目は薄い緑色や青みがかったベージュで、香りや味わいはほとんどありません。

けれど、この何気ない生豆が、焙煎という火の魔法を受けて、豊かな香りと味わいを持つコーヒーへと生まれ変わります。生豆の質や品種、生産地、精製方法によって、焙煎後の味わいは大きく変わるため、豆選びはとても大切な第一歩です。

当店では、お客様にこの「生豆」の状態から実際に選んでいただき、目の前で焙煎することで、香りと音を楽しみながら“自分だけの一杯”をつくる体験をご提供しています。
コーヒーの始まりは、いつもこの生豆から。自然と人の手が育んだ、小さな命のつまった豆たちを、ぜひ間近でご覧ください。

コーヒー豆と標高の関係

コーヒー豆の味わいには、育った「標高(ひょうこう)」が大きく関係しています。
一般的に、標高が高い場所で育った豆ほど、寒暖差が大きく、ゆっくりと時間をかけて実が熟します。その結果、豆の密度が高まり、甘みや酸味、香りがぎゅっと凝縮されるのです。

標高が高い(およそ1,200m以上)豆は、華やかな香りや爽やかな酸味が特徴で、「上質なスペシャルティコーヒー」として扱われることが多くなります。エチオピアやグァテマラの高地などがその代表例です。

一方、標高が低めの地域(600~1,000m程度)では、豆はやわらかく、苦みやコクがしっかりと出やすくなります。重厚感のある味わいを求める方にはぴったりです。

つまり、コーヒーの味は「どこで、どんなふうに育ったか」によって変わります。
その背景を知ることで、一杯のコーヒーがもっと特別に感じられるかもしれません。

コーヒーの有名な産地について

コーヒーは世界のさまざまな国や地域で栽培されていますが、その土地ごとの気候や標高、土壌の違いによって、豆の個性や風味は大きく変わります。ここでは、代表的な産地をいくつかご紹介します。

【エチオピア】
コーヒー発祥の地とされる国。野生のコーヒーが今も森に自生しており、多彩な品種と豊かな香味が魅力です。ジャスミンのような華やかさや、フルーツのような酸味を持つ豆が多く、浅煎りでその魅力がよく引き立ちます。
【ケニア】
標高の高い地域で栽培されるケニアの豆は、明るくジューシーな酸味と、黒スグリのような果実味が特徴。力強く、洗練された味わいで、多くのコーヒー通に愛されています。
【グァテマラ】
火山に囲まれた高地で育つ豆は、チョコレートのような甘みと、しっかりとしたコクが魅力。産地ごとに個性があり、バランスのとれた味わいで、幅広い焙煎度に合います。
【コロンビア】
世界でも有数の生産量を誇る国。酸味と甘みのバランスがよく、なめらかな口当たりが特徴です。「マイルドコーヒー」の代表格として、日本でも親しまれています。
【ブラジル】
世界最大のコーヒー生産国。ナッツやチョコレートのような香ばしさと、やさしい苦みが特徴です。ブレンドのベースとしてもよく使われ、安定した品質で親しまれています。
【インドネシア】
独特な「スマトラ式」と呼ばれる精製方法により、アーシーでスパイシー、重厚なコクが生まれます。深煎りで真価を発揮し、個性的でクセになる味わいです。
【イエメン】
アラビカ種発祥の地のひとつ。乾燥させたチェリーのまま脱穀する伝統的な方法で処理され、複雑でワインのような風味を持つ豆が生まれます。とても希少で高価な豆もあります。

このように、コーヒーの味わいは産地によってまるで違います。どの地域にも、それぞれの風土と人々の手しごとが息づいています。お気に入りの一杯がどこで生まれたのか、そんな背景に思いを馳せて味わうのも、コーヒーの楽しみ方のひとつです。
焙煎劇場 豆の歌では上記以外にも様々な産地の珈琲を取り扱っています。産地や標高などによる珈琲の味や香りの違いを直に楽しむことができる数少ない焙煎所ですので、興味があればいつでも足を運んでみてください。

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ウォッシュド(Washed)

ウォッシュドは「水洗式」とも呼ばれ、もっとも広く使われている精製方法のひとつです。収穫したコーヒーチェリーの皮と果肉を取り除いたあと、ミュシレージと呼ばれるぬめり部分を発酵や機械を使ってしっかり洗い流し、その後に乾燥させます。この方法では、果実の影響が少なく、豆そのものの個性が素直に表れるのが特徴です。爽やかな酸味や透明感のある味わいになりやすく、クリーンで整った印象のコーヒーに仕上がります。産地や品種の違いをはっきり感じたいときにぴったりの精製法です。

ナチュラル(Natural)

ナチュラルは「非水洗式」や「乾燥式」とも呼ばれ、収穫したコーヒーチェリーを果肉ごとそのまま乾燥させる伝統的な方法です。太陽の下でじっくりと天日干しされ、完全に乾いた後に脱殻されます。果肉が長時間豆に接しているため、甘みや果実の香りが豆に移りやすく、ワインやベリーを思わせるような芳醇な香りや複雑な味わいが特徴です。発酵臭や乾燥ムラなどが起きやすいため手間がかかりますが、その分、個性豊かで印象に残る風味が楽しめます。

ハニー(Honey)

ハニーはウォッシュドとナチュラルの中間に位置する精製方法で、果肉を除去したあと、ミュシレージ(ぬめり)をある程度残したまま乾燥させます。ぬめりが蜜のように見えることから「ハニー」と呼ばれます。機械による発酵や水洗いを最小限に抑え、自然な甘みや滑らかな口当たりを引き出します。ハニーにはミュシレージの残し方により「イエローハニー」「レッドハニー」「ブラックハニー」などの段階があり、発酵度合いや甘みの強さも変わります。柔らかな酸味とコクのバランスが魅力です。

パルプドナチュラル(Pulped Natural)

ブラジルでよく使われるパルプドナチュラルは、チェリーの皮と果肉を除去し、ミュシレージを残したまま乾燥させる方法です。ハニー製法と似ていますが、こちらは発酵工程を行わず、すぐに乾燥へと移る点が特徴です。ウォッシュドのクリーンさとナチュラルの甘み・コクを併せ持ち、豊かなボディと穏やかな酸味が調和した味わいに仕上がります。乾燥中の管理が難しく、手間はかかりますが、バランスの良いコーヒーに仕上がるため、近年は注目されている製法のひとつです。

ウェットハル(スマトラ式)

ウェットハルはインドネシア特有の精製方法で、「スマトラ式」とも呼ばれます。まず、チェリーの果肉とぬめりを取り除いたあと、まだ水分を多く含んだ状態で脱殻し、そのまま短時間で乾燥させます。通常よりも早く加工が完了するため、高温多湿な気候でも対応しやすいという利点があります。この製法により、独特のアーシー(大地のような)な香りやスパイシーな風味が生まれ、深いコクと重厚な苦みが際立つコーヒーに仕上がります。特に深煎りとの相性が良く、力強い味わいを求める方におすすめです。

インフューズド

インフューズドコーヒー(Infused Coffee)とは、コーヒー豆の精製や加工の過程で、意図的にフレーバー成分を加えて風味を変化させたコーヒーのことを指します。一般的なコーヒーは、土壌や品種、気候、精製方法などの「自然な要素」によって風味が形作られますが、インフューズドコーヒーは、そこに「外的な香りや成分」を加えることで、新たな味わいを演出する手法です。

たとえば、発酵中にスパイスやハーブ、果実、花、アルコールなどを加えて風味を移す方法がよく知られています。シナモンやジャスミン、ラム酒、カカオパルプなどが使われることもあり、まるでアロマティーやフレーバードリンクのような華やかさを持つ豆に仕上がります。

この手法は近年、スペシャルティコーヒーの分野で注目されており、エキゾチックで個性的な風味や驚きを提供できることから、カフェやバリスタの間で話題となっています。一杯のコーヒーからチョコレートやストロベリー、ローズのような香りが立ちのぼる体験は、従来の「コーヒーの常識」を超えるような楽しさがあります。

一方で、インフューズドコーヒーには賛否もあります。
最大の論点は、「その風味がコーヒー本来のものではない」という点。コーヒーの評価基準として伝統的に重んじられてきたのは、品種や産地、精製の違いによって自然に生まれる風味です。そこに人為的にフレーバーを加えることは、「純粋なコーヒー体験とは言えないのでは?」という声もあるのです。

また、インフューズされた成分の内容や量が明記されていないケースもあり、品質や安全性への透明性が問われることもあります。

しかし、ワインやクラフトビール、日本茶などでも「香りを加える手法」は古くから存在し、それを個性や文化ととらえる動きもあります。インフューズドコーヒーもまた、新しい時代の「嗜好品」として、コーヒーの可能性を広げる存在だと考える人も少なくありません。

大切なのは、そのコーヒーがどう作られたのかをきちんと理解し、自分の好みに合った楽しみ方を見つけること。インフューズドであるかどうかは一つの個性であり、「正解」ではありません。

香りの奥にあるストーリーに耳を澄ませながら、自分だけの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。
インフューズドコーヒーは取り扱いしているお店がまだ少なく、なかなか味わうことが難しいものでもありますが焙煎劇場 豆の歌では常に1~2種類のインフューズドコーヒーを常備しているので、インフューズドコーヒーが気になる、飲んでみたい!となったら豆の歌までいらしてください。
珈琲の概念が変わるかもしれません。

ダイレクトトレード

ダイレクトトレード(Direct Trade)は、コーヒーの生産者とロースター(焙煎業者)や販売者が、仲介業者を通さずに直接取引を行う方法です。中間マージンを省くことで、生産者により正当な価格を還元できるほか、お互いの信頼関係を築きやすく、品質向上にもつながるとされています。

この仕組みでは、生産者がどのように豆を育て、精製し、出荷しているかを直接見て確かめることができるため、トレーサビリティ(生産履歴の明確さ)も高まります。また、消費者にとっても「どこで、誰が、どんな思いでつくったコーヒーか」が見えるようになり、より深い満足感や安心感を得ることができます。

フェアトレードのように認証マークはありませんが、その代わりに直接対話と信頼によって成り立つ、顔の見える関係性が魅力です。単なる「取引」ではなく、パートナーシップとして、コーヒーの未来を共に築いていくスタイルともいえるでしょう。

フェアトレード

フェアトレード(Fair Trade)は、開発途上国の生産者に対して、適正な価格での取引を保証し、生産者の生活や労働環境を守ることを目的とした国際的な取り組みです。コーヒーのほか、チョコレートやバナナ、綿製品などさまざまな品目が対象となっており、特定の認証基準を満たした商品には「フェアトレード認証マーク」が付けられています。

この仕組みにより、生産者は市場価格の変動に左右されず、安定した収入を得ることができるほか、教育や医療、地域インフラの整備といった社会的な支援を受けるための「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」も受け取ることができます。消費者は商品を選ぶことで、間接的に生産者の生活や地域の発展を支えることができるのです。

ただし、認証には費用や手続きが必要なため、すべての生産者が参加できるわけではありません。その点で、ダイレクトトレードとはアプローチが異なります。どちらも「より公正なコーヒー取引」を目指すものであり、目的は共通しています。

フラットビーン

フラットビーンとは、コーヒー豆の形状の一種で、豆の片面が平らになっていることが特徴です。これはコーヒーチェリーの中で、通常2つの種子(豆)が向かい合って成長するため、互いに押し合って平らな面ができるためです。一般的なアラビカ種のほとんどがこのフラットビーンに該当します。形状が均一なため焙煎時の熱の入りが安定しやすく、風味の再現性が高いのも特徴です。なお、まれに一粒だけで成長した丸い形の豆は「ピーベリー」と呼ばれ、フラットビーンとは区別されます。

ピーベリー

ピーベリー(Peaberry)とは、コーヒーチェリーの中に通常2つできるはずの種子(コーヒー豆)が、何らかの自然的な要因で1つしか形成されなかった場合に見られる、丸い形状の特別な豆のことを指します。通常のコーヒー豆(フラットビーン)は、互いに向き合って成長することで平らな面ができますが、ピーベリーは一粒でチェリーの内部全体を占めるため、球状に近い独特の形になります。

全体の収穫量のうち約5%程度しか存在しないとされる希少な豆で、品種や産地にかかわらず自然発生的に現れます。焙煎においては、丸い形状のため熱が均一に入りやすく、香りや甘みが引き立ちやすいとも言われていますが、味の違いについては賛否があり、特別に濃厚だと感じる人もいれば、それほど違いを感じないという意見もあります。ピーベリーは通常、手作業で選別され、特別なロットとして販売されることが多く、その希少性とユニークさから、コーヒー愛好家の間で人気を集めています。

焙煎劇場 豆の歌ではピーベリーも比較的多めに取り扱っています。こちらも気になる方はぜひ一度ご来店頂き、上質なピーベリーをお楽しみください。

アーシー

「アーシー(Earthy)」とは、コーヒーの風味表現の一つで、「土のような香りや味わい」を指します。湿った土や森の香りを思わせるこの風味は、特にインドネシアやエチオピアなどの特定地域の豆に見られる特徴です。アーシーな風味は好みが分かれますが、独特の深みや重厚感があり、個性的なコーヒーとして支持されています。精製方法や土壌環境が影響を与えることが多く、ナチュラル精製やスマトラ式などで強く現れる傾向があります。

ディカフェ

ディカフェ(Decaf)とは、カフェインをほとんど含まない、または除去されたコーヒーのことを指します。通常のコーヒー豆には自然にカフェインが含まれていますが、ディカフェはそのカフェインを90%以上取り除いたものです。カフェインの除去にはいくつかの方法があり、代表的なものに「ウォータープロセス(水抽出法)」「CO₂抽出法」「溶媒抽出法」などがあります。特に近年では、化学薬品を使わずに安全に処理されたウォータープロセスが注目されています。

ディカフェは、カフェインの摂取を控えたい妊娠中の方、睡眠に影響を受けやすい方、また健康上の理由で制限が必要な方にも安心して楽しめるコーヒーです。以前は「味が劣る」といわれることもありましたが、技術の進化により、近年では風味豊かな高品質のディカフェも多く登場しています。香りやコク、酸味などをしっかり楽しめるディカフェは、カフェインの有無にかかわらず、コーヒー好きにとって新たな選択肢となっています。

世界三大珈琲

世界三大珈琲とは
「世界三大珈琲」は、世界中で高く評価されている三つのコーヒー銘柄を指します。多くの場合、ジャマイカのブルーマウンテン、タンザニアのキリマンジャロ、ハワイのコナがこの三大銘柄とされます。いずれも標高の高い山岳地帯で育てられ、気候や土壌、栽培・収穫の丁寧さにより、他に類を見ない風味や品質を実現しています。希少性と人気の高さから、一般的なコーヒーと比べて価格も高めですが、その分、味と香りに優れた「特別な一杯」を楽しむことができます。

■ブルーマウンテン(ジャマイカ)
ブルーマウンテンは、ジャマイカ東部のブルーマウンテン山脈で栽培される、世界で最も有名で高級なコーヒー豆の一つです。標高800〜1200mの山地で、冷涼な気候、豊富な降雨、肥沃な火山性土壌が育む理想的な環境の中で生まれます。味の特徴は、苦味・酸味・甘み・コクが絶妙なバランスで共存しており、非常にまろやかで雑味のない上品な味わい。香りも豊かで、後味までクリーンです。その洗練された風味から「コーヒーの王様」とも称され、日本でも特に人気が高く、流通量の8割が日本向けという年もあります。国の厳しい品質管理により、一定の基準を満たした豆のみが「ブルーマウンテン」として認定されます。
■キリマンジャロ(タンザニア)
アフリカ大陸最高峰・キリマンジャロ山の麓で育つキリマンジャロは、タンザニアを代表するコーヒー豆です。標高1,000〜2,000mの高地に位置し、昼夜の寒暖差が大きい環境が豆の甘味と酸味を引き立てます。味わいは明るく爽やかな酸味が特徴で、フルーティーでありながらもしっかりとしたコクがあります。後味がすっきりしているため、軽やかで飲みやすい印象を与えます。焙煎度を変えることで多様な表情を見せる豆でもあり、酸味を活かした浅煎りや、甘みとボディを引き出す中深煎りも人気です。「キリマンジャロ」という名称はタンザニア産の豆のブランドとしても広く使われていますが、特にこの山の斜面で栽培されたものは品質が高いとされています。
■コナ(ハワイ)
ハワイ島の西側、コナ地区で栽培される「コナ・コーヒー」は、アメリカ唯一の本格的なコーヒー生産地として知られています。マウナロア火山の斜面に広がるコナ地区は、火山性の肥沃な土壌、昼夜の寒暖差、午後に降る穏やかな雨、雲による適度な日陰など、コーヒー栽培に最適な条件がそろっています。味わいの特徴は、酸味・甘味・苦味のバランスが良く、滑らかでクリーンな口当たり。マイルドでありながら香り高く、シルクのような質感を持つ優雅な一杯です。世界的にも生産量が少なく、100%ピュアなコナ・コーヒーは希少で高価です。市場にはブレンド品も多いため、本物を味わいたい場合は「100% Kona Coffee」と表記されたものを選ぶことが推奨されます。

ブルーマウンテン、キリマンジャロ、コナの三大珈琲は、それぞれ異なる地域と風土が育んだ個性豊かな味わいを持ちます。どれも高品質かつ希少性が高く、コーヒーの奥深さと多様性を体験するうえで外せない存在です。香り・味わい・口当たり、それぞれの魅力を比べながら、自分にとっての「特別な一杯」を探してみてはいかがでしょうか。

世界三大珍珈琲

「世界三大珍珈琲」とは、その希少性や生産方法、背景のユニークさから特に珍重されている3つのコーヒーを指します。一般的には、「コピ・ルアク(インドネシア)」「ブラック・アイボリー(タイ)」「ジャコウネココーヒー(フィリピン)」などがその代表とされることが多く、いずれも動物の消化過程を経て作られる特殊なコーヒーとして知られています。その希少さと手間のかかる生産方法から非常に高価で、世界中のコーヒー愛好家の間で「一生に一度は飲んでみたいコーヒー」とも言われています。

■コピ・ルアク(Kopi Luwak/インドネシア)
世界で最も有名な珍珈琲の一つ。インドネシアに生息するジャコウネコが完熟したコーヒーチェリーを食べ、その消化器を通過した未消化の種子(コーヒー豆)を洗浄・乾燥・焙煎して作られます。腸内発酵により、苦味が抑えられたまろやかな味わいと、独特の香りが特徴です。ただし、近年では動物福祉の観点から、野生ではなく狭いケージで飼育されるケースが問題視されており、倫理的な配慮も重要となっています。
■ブラック・アイボリー(Black Ivory/タイ)
タイ北部で生産される、世界でもっとも高価なコーヒーの一つです。このコーヒーは象が完熟コーヒーチェリーを食べ、その体内で発酵・消化された豆を糞から回収して作られます。象の腸内で長時間発酵されることで、苦味が少なく、柔らかな甘味と深いコクを持った味わいになります。生産には時間と労力がかかるため、年間の生産量は非常に限られており、希少価値が高く、1杯数千円以上の価格で提供されることもあります。売上の一部は象の保護活動にも使われています。
■ジャコウネココーヒー(フィリピン)
フィリピンでもインドネシア同様、ジャコウネコによって作られるコーヒーが存在します。こちらでは「アラミドコーヒー」などの名称で販売されることもあります。プロセスは基本的にコピ・ルアクと同じで、コーヒーチェリーを食べたジャコウネコの排泄物から豆を採取し、洗浄・乾燥して焙煎します。フィリピンの気候や土壌の違いから、味わいにも独自の個性があり、やわらかでフルーティーな酸味が感じられることが多いです。

世界三大珍珈琲は、単なる味の良し悪しではなく、ユニークな生産方法や希少性、そしてその背景にある文化や物語が大きな魅力となっています。ただし、近年では動物の福祉や自然環境への配慮が求められる中で、倫理的に持続可能な方法で生産されているかどうかも、選ぶ際の重要なポイントとなっています。単なる話題性にとどまらず、その一杯の裏側にあるストーリーを理解し、味わうことこそが、本当の意味での「珍珈琲」を楽しむことと言えるでしょう。

非常に残念ですがこういった変わり種の珈琲は非常に高価、かつ入手困難なものが多く、現在焙煎劇場 豆の歌での取り扱いはありません。入手できたらすぐにご案内しますので、こまめにSNSなどをチェックしてみてください。